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マインドフルネスについて3
皆さん、こんにちは。コロナの収束のめどがなかなか立たない日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。今回は前回に引き続き、マインドフルネスの典型的な誤解について見ていくとしましょう。(1-5については「マインドフルネス②(前半)」を参照)
6. マインドフルネスは宗教者や徳の高い人の実践するものであって、一般人には向かない
→ マインドフルネスはテーラワーダ仏教の流れを汲んでいることから生じた誤解かもしれません。宗教家に限らず、一般の方、老若男女、教育レベルなどを一切問わず、誰でも実践できるものです。アメリカでは、学校や刑務所などでも導入され、一定の効果を挙げています(Bowen,Witkiewitz,Dillworth et al.,2006)。
7. マインドフルネスは現実からの逃避である
→ 今ここでの体験に目を向け、それを受け入れることを目的にしているので、現実からの逃避ではなく、現実への深い関与を目指すものです。つまり、自分を取り巻く環境とそれに対する感情や考えをありのままに観察することになります。
8. マインドフルネスはハイ(気分が高揚している状態)になるための手段である
→ Gunaratana(2011)によれば、「マインドフルネスによって、まれに至福感を得ることがあるが、これを目標にするなら、それは期待外れに終わるだろう」と述べ、マインドフルネスが気づきであることを繰り返し強調しています。
9. マインドフルネスは独りよがりである
→ Gunaratana(2011)は「マインドフルネスの真意は情動調整を図ることで対人関係を改善し、他人に対して思いやりを持つことにある」と述べ、独りよがりという見解に対し反論しています。
10. マインドフルネスの実践は座位で行ない、実践者に高尚な考えを抱かせるものでなければならない
→ 多くの瞑想法では、その実践を座位で行なうものがありますが、マインドフルネスの場合、その目的は気づきの実践になるため、時や場所にかかわりなく、ありのままの現実を見つめることになります。そのため、座位に限定されることはなく、歩いたり、なにかものを食べたりすることも奨励されています。
11. 数週間のマインドフルネスによって悩みや問題が解決する
→ 昨今のマインドフルネスブームがこのような誤解を招いているのかもしれません。Gunaratana(2011)によれば、「忍耐が決めて手である。忍耐。マインドフルネスから得ることが皆無であるとしても、忍耐だけは身につくであろう」と締めくくっていることからもわかるように短期間での解決を期待することは望ましくないです。
以上、マインドフルネスを実践する上での典型的な誤解について、お話をしてきました。いかがだったでしょうか。皆さんの中には、このような誤解をされていた方がおおくいらっしゃるのではないでしょうか。マインドフルネスに限らず、正しい認識はより良い効果をもたらします。この機会にぜひ、正しい理解を身に着けるようにしましょう!
【参考文献】
Henepola Gunaratana,Mindfulness in Plain English,Wisdom Publications,2011.
大谷彰,マインドフルネス入門講義,金剛出版,2015.