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産業医の職務
最終更新: 2019年6月30日
従業員の数が50名以上の企業では産業医を選任しなければなりません。
産業医の職務は、概念的には3管理と呼ばれています。3管理とは、健康管理、作業管理、作業環境管理のことです(総括管理、労働衛生教育と加えて5管理とされることもあります)。
作業管理とは、作業方法そのものの管理になります。例えば、できるだけ健康を害さないような作業方法を提案し、それが適切に実施させるように管理することをさします。具体的業務としては職場巡視があります。職場巡視とは法令で定められた産業医が必ず毎月少なくとも一度は行わなければならない職務で、実際に労働者がどのような作業方法かを確認し、不健康・不衛生なものがあれば是正するよう指導することを目的の一つにしています。(頻度は、条件が合えば少なくとも2ヶ月に1回に変更可能です。)
作業環境管理とは、作業環境中の有害物質・因子の状況を把握し、可能な限り良好な状態で管理していくことです。そのために産業医は有害物質・因子の測定を行います。作業環境管理も職場巡視の目的の一つです。主なチェック項目としては以下のような事務所衛生基準規則に定められていることは少なくとも確認する必要があります。
・空気:一人あたり10m3以上の空間が確保されているか(設備の占める容積および床面から4メートルを超える高さにある空間を除く)、床面積の1/20以上の窓が外気に向かって開放しているか
・温熱環境:室温(10度以下の場合は温度調節が必要、冷房する場合は外気温より著しく低くしてはならない)
・照度環境:明るさ(普通の作業をする場合150lx以上あるか)
また最近改正となった点として休養室の設置があります。
第21条では、「常時五十人以上又は常時女性三十人以上の労働者を使用するときは、労働者が床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない」とされています。(この改正はおそらく多くの企業を悩ませているでしょう。)
また、いすと机の高さの関係や(作業管理)、同じ明るさでも白色灯と蛍光灯の違い、他にもVDT作業環境やAEDの設置など改善すべきポイントがあれば衛生委員会に報告します。
健康管理とは、文字通り労働者の健康の管理を行うことです。具体的には、健康診断の実施およびその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置、長時間労働者に対して面接指導を行うこと、ストレスチェック(心理的負担の評価)が挙げられます。
このような最低限の業務に加えて、産業医には企業の生産性をあげることが期待されます。ストレス処理の能力を高めたり、レジリエンスを向上させたりすると、会社内外でのコミュニケーションが円滑になり生産性があがります。
そのためにはまずは良い信頼関係を構築することから始めます。「すぐに!」ではなく少しずつ着実に前進することが大切だとおもっています。