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健康診断
労働安全衛生法第66条1項では、事業主は労働者に対して医師による健康診断を行わなければならないと定めています。この健康診断についてまとめたいと思います。
まず一般健康診断ですが、次の11項目が含まれます。
1. 既往歴、業務歴の調査
2. 自覚症状、他覚症状の有無の検査
3. 身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査
4. 胸部エックス線検査、喀痰検査
5. 血圧の測定
6. 貧血検査
7. 肝機能検査 (GOT,GPT,ガンマGTP)
8. 血中脂質検査 (LDL, HDL, 中性脂肪)
9. 血糖検査
10. 尿検査
11. 心電図検査
これらの項目の一般健康診断は次の状況で行わなければなりません。
1. 雇入時
パートタイムの場合は1週間の所定労働時間の3/4以上勤務する場合。
有期労働の場合は、その期間が1年以上の場合。
2. 定期
1年に一度、常時使用する労働者に対して行わなければなりません。
3. 特殊業務従事
特定業務の場合は半年に一度になります。
4. 海外派遣
国外に6ヶ月以上派遣しようとするときはあらかじめ健康診断を行わなければならない。この場合は上記11項目に加えて、以下の5項目も追加となる。
1. 腹部画像検査
2. 血液中の尿酸の量の検査
3. B型肝炎ウイルス抗体検査
4. ABO式及びRh式の血液検査(派遣前のみ)
5. 糞便塗抹検査(帰国後のみ)
しばしば受ける質問に以下のようなものがあります。
1. インターン生に健康診断を受けさせる必要があるか?
上記にあるように1年以上の予定でのインターンでなければその必要はありません。
2. 健康診断の結果はすべて産業医が確認するべきか?
上記に定める項目については、従業員は法人に結果を提出します。そのことをもって、産業医が個人情報にアクセスすることに同意したとみなすことが一般的です。ですが、がん検診や脳ドックなど、上記項目以外はこのような包括的な同意の外かもしれません。まずは、受検者に産業医と結果を共有していいか確認されることが好ましいと思います。
3. 産業医にみせてどうなるの?
産業医は結果に基づいて、通常就業可・条件付き就業可・就業不可の三つの判定を行うことになります。産業医は医師でなければなりませんが、医業は行いませんので診断や治療は行いません。
4. 受検率があがらないのですがどうすればいいですか?
医師の視点からは、せっかく受検する機会なので是非健康診断は受けてほしいと思います。しかし、実際には健康診断の受検率が上がらず困っている企業も多いです。労働衛生安全法第66条5項では従業員に健康診断の受検義務を課しています。そして、受検しない場合には雇用主が懲戒処分とすることが認められています。北風よりも太陽となりたいですが、従業員の方に受検義務があることは間違いありません。
健康診断を受診して安心して働きたいですね。