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食生活

少し前から、ローカーボダイエット(低炭水化物ダイエット)が流行しています。このローカーボに関して、医学的な研究の結果をまとめたいと思います。

ローカーボで単に摂取カロリーを減らすのではなく、多くの研究はローカーボ(低炭水化物+高脂肪)とローファット(低脂肪+高炭水化物)の2群を比較しています。まず2006年にArchives of Internal Medicine誌に掲載された論文ではローカーボはローファットに比べて半年後の体重減少が有意に大きいと報告しています。一見好ましい結果ですが、一年後にはリバウンドしてしまうようです。2群が半年後と1年後の両方で差があった指標があります。例えば、コレステロールやLDLはローファットの方が好ましい変化が継続して見られ、一方で中性脂肪はローカーボの方が好ましい変化が見られたようです。

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/409791

ローカーボではリバウンドが本当に起こるのかを明らかにするために複数の論文をまとめた研究があります。2015年までに発表された論文をまとめたところ、ローファットよりもローカーボの方が長期間にわたって統計的に有意な体重減少があるものの、LDLは増加してしまうようです。

https://www.cambridge.org/core/journals/british-journal-of-nutrition/article/effects-of-lowcarbohydrate-diets-v-lowfat-diets-on-body-weight-and-cardiovascular-risk-factors-a-metaanalysis-of-randomised-controlled-trial/B8FBAC51C156D8CAB189CF0B14FB2A46

言い切れない部分も残りますが、ある程度の代謝的代償を払いつつもどうやらローカーボはある程度は体重減少に効果があるようです。この論文ではLDLだけではなくHDLも上昇させていると報告していました。HDLはLDLと違い善玉と呼ばれますので、ひょっとすると代謝的代償(LDL上昇)はある程度は補われているのでしょうか。

この疑問に直接的ではないものの多少アプローチする研究がなされています。それはローカーボと死亡率の関係です。2018年にLancet Public Healthに掲載されたコホート論文によると、カーボ(炭水化物)からのエネルギー摂取割合と死亡率の関係がU字型であることが報告されています。つまり、炭水化物からのエネルギーが40%未満、あるいは70%以上の人は死亡率が高いということです。また、炭水化物を肉由来のタンパク質に代替したところ死亡率が上がる(オッズ比で1.18倍)、植物由来の蛋白に代替したところ0.78倍に死亡率が下がるという結果が報告されています(ただ、この論文には平均年齢が高いなどの問題も指摘されています)。

https://www.thelancet.com/journals/lanpub/article/PIIS2468-2667(18)30205-6/fulltext

さらに最近の研究では、食物繊維をたくさん摂った人は少なく摂取した人と比較して15-30%の程度であらゆる死因と心血管障害と脳梗塞のリスクが下がると報告されています。さらに、2型糖尿病、心血管障害、乳がんについては食物繊維をとればとるほど下がると報告されています。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140673618318099

また、最近の研究では炭水化物を白米のようなかたちではなく玄米のように脱穀される前の状態で摂取することのメリットも強調されています。

まとめると、玄米から適度な炭水化物を摂取し、動物ではなく植物由来の炭水化物を摂取することが望ましいようです。ただ、それが過剰なストレスになってしまっては元も子もありません。一人一人の状況に応じた食生活を模索することが大切です。

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